株式と債券の相関を理解する

株式・投資信託

こんにちは、Switch0923です。

今回は株式と債券の相関について考察してみたいと思います。

相関とは

まず、相関とは、異なるアセット間(株式、債券、金、不動産など)の動きの関連性を示す指標です。
投資家にとっては、リスク管理や効果的なポートフォリオの構築において極めて重要な要素です。

理解を深めるために、仮想の会社を例に相関を説明しましょう。

仮想の会社「α電機」と「βエレクトリック」、そして「γ旅行株式」の3社の関係を考えます。
昨今のテレワークの増加に伴い、家電製品の需要が高まり、電子製品業界全体が好調だとします。
この業界動向により、α電機とβエレクトリックの株価は上昇しました。
しかし、γ旅行の株価はほとんど変動せず横ばいで推移しました。

この例から、以下のことが分かります。

  • α電機の株価上昇に対して、βエレクトリックの株価も同様に上昇したため、α電機とβエレクトリックは高い相関があると言えます。
  • α電機の株価上昇に対して、γ旅行の株価はほとんど変動しなかったため、α電機とγ旅行の相関は低いと言えます。

このように、相関は異なるアセットの動きの関連性を示します。

相関の強さを示す相関係数

相関は相関係数を使って表現されます。相関係数は以下のように解釈されます。

  • 相関係数がプラスの場合:順相関(Aが上昇するとBも上昇する)
  • 相関係数がマイナスの場合:逆相関(Aが上昇するとBは下降する)
  • 相関係数がゼロの場合:無相関(Aの変動とBの変動に関連性がない)

相関係数は+1から-1の範囲で表現され、以下のように評価されます(大村 平著「統計解析のはなし」による)。

  • 強い相関(0.8~1.0)
  • かなり正の相関(0.5~0.8)
  • やや正の相関(0.2~0.5)
  • ほとんど相関がない(-0.2~0.2)
  • やや負の相関(-0.5~-0.2)
  • かなり負の相関(-0.8~-0.5)
  • 強い負の相関(-1.0~-0.8)

株式と債券の相関関係

それでは、株式と債券の相関について考えてみましょう。

一般的に、株式と債券は逆の動きをするとされています。

たとえば、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2022年業務概況書によれば、国内株式と国内債券はほとんど相関がないことを示しています。具体的な情報はGPIFの業務概況書で確認できます。

私はeMAXIS Slimの各株式と債券の商品を使って相関を調査しました。ただし、新興国債券についてはeMAXIS Slimに該当する商品がないため、eMAXISのデータを使用しました。2017年9月1日から2023年9月1日までの各投資信託の月次リターンを元に相関を計算しました。計算結果は以下の通りです。

GPIFの業務概況書と同様に、国内株式(TOPIX)と国内債券はほとんど相関がありませんでした。一方で、株式同士は相関が高いという結果になりました。これが株式のみでポートフォリオを構築するのは避けるべき理由です。分散投資を行う場合、ほとんど相関がないアセットを組み込むことが望ましいため、株式と債券を混ぜたポートフォリオが書籍などで推奨されています。ただし、新興国債券は国内債券とは異なり、他の株式や債券とは相関があることが明らかになりました。一概に債券だからすべてが株式と逆の動き、もしくは株式と無相関とは言えないとこの計算から考えるようになりました。新興国債券についてはeMAXISのデータを使用しているため、この結果が得られた可能性もあります。

相関に関する注意点

最後に、相関に関する注意点を挙げておきましょう。
相関は調査期間によって異なった結果を示します。例えば、リーマンショックの発生した2009年のデータを使うと、全てのアセットが右肩下がりになっていた時期なので、各アセットは正の相関を示すと思います。しかし、これは特殊な状況下での現象であり、一般的な相関とは異なります。

相関係数を評価する際には、どのデータを使用して作成された相関なのか考慮することが重要です。
個人的には、最低でも5年間のデータを使用して相関を評価することをおすすめします。

まとめ

今回の記事のまとめです。

  • 相関係数は異なるアセットの動きの関連性を示す指標であり、+1から-1の範囲で評価されます。
  • 一般的には株式と債券は逆の動きをすると言われています。
  • 相関は調査期間によって変動するため、注意が必要です。

今回は、相関についての記事をまとめてみました。資産管理を考えている方やポートフォリオを検討している方にとって、相関は重要な要素です。相関を理解し、適切に活用することで、リスクを管理し、効果的な投資を行う手助けになるでしょう。次は債券をポートフォリオにどれくらい組み込むといいのかについて考えてみたいと思います。情報が整理できたら記事にしたいと思いますので、お楽しみに。

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。

Switch0923でした。

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